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日本連絡会議ニュース

       第1号

    2008年1月8日

    毎週火曜日発行

     

 

 

 

 

 

許栄九コラム

(07年12月20日民主労総ホームページ掲載)

(注:AWC韓国委員会代表である許栄九・民主労総副委員長の文章の訳です)

李明博(イ・ミョンバク)当選、物心主義・共犯主義・地域主義2

 

大統領選挙投票が終わるとすぐに、各放送局は先を争って出口調査結果を発表した。李明博候補の圧勝だった。まだ5%の開票もなされないうちの李明博候補「当選確実」という字幕は、韓国社会の政治虚無主義を語っている。今回の選挙は不正と腐敗にまみれた浅はかな物心的韓国資本主義の勝利だった。新自由主義的資本主義(資本資本主義)は、まず人間の道徳性と良心を停止させ、不正に対する共犯意識を強める。次に、少数の支配勢力に対する対応方法において闘いよりは政治的虚無主義に陥る。今回の選挙で如実にあらわになったのは、「詐欺師」であろうと「経済」問題を解決できるのであれば支持するという性向が著しかったことだ。手段・方法を選ばず「成功神話」に代弁される物心主義だ。他方では、「どうせ奴は奴」という式の政治的無関心だ。有権者の37%が棄権し、歴代大統領選挙史上で最も低い投票率を記録した。こうした恐慌状態であっても後進的な地域主義は依然として頑強だった。朝鮮日報・中央日報・東亜日報をはじめとする守旧保守資本マスコミは、財閥と既得権勢力と結託してハンナラ党・李明博候補を当選させるために総力を集中した。

選挙の翌日、これらの新聞は勝利の賛歌を送った。「10年ぶりに右派へ政権交代」(朝鮮)、「権力の振り子が左から右へ巨大な移動」(東亜)、「盧武鉉政権の中身を審判……李明博、国民すべての勝利」(東亜)、「国民は経済と安定を選んだ」(毎日経済)、「初CEO大統領李明博当選」(韓国経済)など、右派資本勢力の勝利に歓呼を挙げた。もっとも、代表的な放送局は占拠過程の批判的報道とは違い、当選が確定すると、「明博御天歌(?)」を放送し始めた。国会で通過した李明博特別検察の結果も見なければならず、BBKをめぐる真実の攻防と当選以後にも問題が出れば責任を無限にとるという候補自身の言葉を考えるとき、当選を強調し祭を楽しむときではまだない。

金大中、盧武鉉と続いた過去10年を左派政権と規定するのは、保守右派政権の権力再創出の正当性を付与しようという、国民に対する欺瞞的な劇だ。「左側のライト」をつけて迂回(左派新自由主義?)した盧武鉉政権を左派政権と呼ぶのか分からないが、この10年の政策内容は、国内財閥、多国籍資本と多国籍企業の利害を代弁するIMFプログラムの誠実な遂行にすぎなかった。これは、新自由主義と呼ばれている新自由主義的資本主義、すなわち「信資本主義」の推進だった。李明博候補をはじめ韓国で富を蓄積した部類は、まさにこうした新資本主義の下で拡大した先進金融企業と資本に対する規制撤廃と労働の弾力化を通じた企業経営技法の過程で可能だった。

もっとも、1960年代以降開発独裁の時期に財閥と独裁権力の癒着過程で韓国において富を蓄積した勢力は、今、国家権力までも支配するほどになった。偽装転入は子どもの勉強のための「孟母三遷」と美化され、不法な脱税は「節税」と言いくるめられた。実際、これらの人々が言う節税は、税金から逃れて盗んだ窃税だった。投資という名で不動産投機を行い、偽装就業と仮名・借名を通して不法に財産を増やしてきた。しかし、多くの人々はこうした不法にさえも目をつぶってしまう。これは明らかな共犯意識のためだ。物心主義が定着する過程で知らぬ間に不法と不正から自由ではない人々が増えているということを反証している。

しかし、当選さえすればすべてが終わったと免罪符を手にしてはならない。李明博候補についてのすべての不正は最後まで真実が究明されるべきだ。そのようにして不正が明らかにあれば、彼が言ったとおり無限の責任を取るべきだろう。12月20日「嘘の選挙と民主政治の危機克服のための全国市民社会団体非常対策会議」(民主労総を含む1000余りの団体)は記者会見を開き、来年1月10日「BBK真実究明と不正腐敗清算のための時局討論会」を開催するなど反腐敗運動を新たに始めようと思っている。権力の使いとなった検察と不法と不正を放置している社会を立て直すためには、新たに闘いを開始すべきだ。これまでの20年間、手続き的民主主義を通した選挙の時期に一票を投じることだけでは腐敗を審判できないことを確認した。一票だけでは世界を変えることはできない。

 

 

 

 

 

 

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