8月15日、安倍首相、閣僚、国会議員の靖国公式参拝策動を弾劾する
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8月15日を前にして、わたしたちは、安倍首相、安倍政権の閣僚、および、国会議員らが靖国公式参拝を行わないように強く要求する。靖国神社参拝策動は、安倍政権の戦争のできる国作り、そのための歴史改ざん策動などと一体である。安倍首相を先頭とする8月15日の靖国公式参拝策動を強く弾劾する。
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昨年12月26日、安倍首相は、靖国神社への参拝を突然に強行した。これは、日本帝国主義のアジア侵略戦争によるすべての犠牲者に対する恥ずべき冒涜であった。アジア人民に対する真っ向からの敵対と挑戦であった。また、真に平和を愛する日本人民への敵対でもあった。
安倍首相が発足して以来、安倍政権の閣僚と、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に参加する自民党をはじめとする国会議員達は、大挙して靖国神社への参拝を繰り返してきた。そして、これに対する韓国政府や中国政府の反発に対して、安倍首相は、「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前。どんな脅しにも屈しない。その自由は確保している」と閣僚らによる靖国参拝を公然と正当化してきた。安倍首相は、韓国政府や中国政府の抗議を内政干渉だと批判し、脅しには屈しないと挑戦的に開き直ってきた。そして、ついに、昨年12月、自らが靖国公式参拝を強行してきたのである。こうした経過の上に、きたる8月15日、これまでにも増して、靖国神社を参拝しようとする策動が強まっている。
(3)
靖国神社は、かつて、アジア侵略戦争を遂行した日本帝国主義軍隊・天皇の軍隊の精神的支柱であった。天皇に忠誠を尽くす日本軍兵士は、靖国神社に祭られ英霊とされた。1945年、日本帝国主義のアジア侵略戦争敗以降も、「東京裁判」におけるBC級戦犯がなず合祀され、続いて、A級戦犯も合祀されてきた。靖国神社は、「東京裁判」そのものも認めておらず、日本帝国主義のアジア侵略戦争をすべて正当化している。
安倍首相も、かつての日本帝国主義のアジア侵略戦争は正しく、天皇と国家のために死ぬことは正義だと考えている。いま、安倍政権は、集団的自衛権を「合憲化」し、自衛隊(日本軍)を米軍と共に世界中で戦闘のできる軍隊へと変貌させようとしている。安倍政権は、国家安全保障会議(現代の大本営、戦争司令部)を創設し、多くの人々の抗議のなかで特定秘密保護法を制定し、集団的自衛権「合憲化」を閣議決定した。そして、ひき続いて、集団的自衛権行使のための関連法整備ないしは新法制定に入ろうとしている。安倍首相は、かつてのアジア侵略戦争を何ら反省することもなく、これを正義の戦争であると正当化し、再び、戦争のできる国作りを目指している。釣魚諸島や独島をめぐって排外主義を煽り立て、さらには、歴史を改ざんし、愛国心と排外主義を煽り立てている。
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こうした歴史改ざんの試金石とでもいえる問題の一つが、日本軍「慰安婦」制度問題をめぐる安倍政権のこの間の反動的な策動である。安倍政権は、日本軍「慰安婦」制度問題をめぐる1993年の「河野談話」の作成過程の検証を行うとし、6月20日、「慰安婦問題を巡る日韓間のやり取りの経緯-河野談話作成からアジア女性基金まで」(検証報告)を発表した。「河野談話」は不十分ながらも、日本軍「慰安婦」制度問題を巡って、日本軍の関与を認め「お詫びと反省」を政府として明らかにしたものであった。安倍首相は、この「河野談話」を一貫して敵視し、その見直しを策動してきたのである。しかし、日本軍「慰安婦」制度問題を巡って、日本軍の関与や強制性を認めた「河野談話」を全面的に見直すなどということは、歴史の改ざんであり、何の正当性もない。アジア諸国地域をはじめ国際的な批判に耐えうるはずもない。それ故に、安倍政権は、しぶしぶと政府として「河野談話」を継承すると言わざるをえなかった。にもかかわらず、その一方で、安倍政権は「河野談話」を検証するなどと、実際は「河野談話」の信用を落とすことに躍起になってきたのである。「検証報告」は、「河野談話」には何の裏付けもなく、韓国側から押しつけられた内容であるとした。そして、この「検証結果」と連動して、日本維新の会の橋下や一部マスコミなどが猛然と元日本軍「慰安婦」への敵対を扇動する大キャンペーンを繰り広げている。
日本軍「慰安婦」制度問題は、戦時下における性奴隷制として、国際的にも共通の批判となっている。安倍政権らの策動は醜悪である。安倍政権は、戦時下における性奴隷制そのものを不問にし(安倍首相の盟友である日本維新の会・橋下は、戦時性奴隷制は必要だと公言してきた)、ただ単に強制性はあったか否かなどに意図的に切り縮めたり、あるいは、「河野談話」が韓国側からの強制であったかの如く演出したり、また、なによりも元日本軍「慰安婦」の証言が信用できないということを意図的に扇動しているのである。こうした、戦争のできる国作りの不可欠な一環として進められている歴史改ざんを許してはならない。
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わたしたちは、集団的自衛権行使、戦争法体系の整備・確立、これと一体となった歴史改ざん、排外主義扇動、靖国公式参拝を許さない。8月15日を前に、大挙した靖国公式参拝策動を強く弾劾するとともに、安倍首相、安倍政権の閣僚、国会議員らが、靖国公式参拝を行わないことを強く要求する。
2014年8月11日
アジア共同行動日本連絡会議
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