日比合同軍事演習に対する弾劾声明
日本の海上自衛隊はフィリピン海軍と共に、5月12日、スプラトリー諸島(南沙諸島)に近いルソン島サンバレス州の沖合で合同軍事演習を行った。日本からは600人の自衛隊員を乗せた「はるさめ」と「あまぎり」という二隻の護衛艦が、フィリピン海軍からはフリーゲート艦「ラモン・アルカラス」がこの演習に参加している。また、これに先立つ5月6日には日比双方の沿岸警備隊による合同訓練が実施された。それらが、フィリピンと中国の間でのスプラトリー諸島(南沙諸島)の領有権をめぐる問題で、中国をけん制しようとするものであることは明らかである。
このような軍事演習はこの地域の政治的・軍事的緊張を高めるだけのものであり、われわれはそれを強く弾劾する。われわれはまた、日本の政府と軍隊がこのようなかたちで他国の「領土紛争」に介入しようとしていることに強く抗議する。
このかん日本とフィリピンの間の二国間軍事協力が急速に進められてきた。日比両政府は2012年7月の「防衛協力・交流に関する意図表明文書」に続き、今年1月には「防衛協力・交流に関する覚書」に調印した。また、日本の自衛隊はこのかん数度にわたって米比合同軍事演習バリカタンに参加している。2014年10月にフィリピンのパラワン島沖で実施された米比海軍による合同軍事演習にも、日本の海上自衛隊は参加した。
このような動きは、東南アジアをはじめアジア太平洋地域に膨大な経済権益もつ日本がこの地域における独自の軍事的影響力を拡大することを狙ったものであり、また同時に、アジア太平洋地域における軍事プレゼンスを傾斜的に増強しようとする米国のいわゆる「再均衡戦略」を補完するものである。
われわれは、安部政権の下、急スピードでおし進められている日本の戦争国家化に向けた動きを許さず、今回の日比合同軍事演習を弾劾する。そして、日米軍事同盟の強化に反対し、安部政権による新安保法制の制定を阻止するために全力でたたかう。
2015年5月13日
アジア共同行動(AWC)日本連絡会議
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