アジア共同行動・日本連絡会議

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オバマ米国大統領の広島訪問にたいする抗議声明


5月27日 米国オバマ大統領広島訪問に対するアジア共同行動(AWC)日本連絡会議の声明

オバマ大統領が伊勢志摩サミット後、広島の平和公園や原爆資料館などに立ち寄ろうとしています。アーネスト大統領報道官は記者会見で原爆投下の謝罪ではないこととともに「オバマ大統領は、トルーマン大統領が正当な理由のために決断したと認識している」と述べました。原爆の使用を正当化し謝罪をしないのに何のために広島にくるのでしょうか?

また一部報道では米軍岩国基地から軍用ヘリコプターかオスプレイで広島に入ると言っています。原爆を投下した米軍側の航空機で被爆地を訪れるなど断じて許せません。

米軍は1945年8月6日広島、9日長崎に原爆を投下しました。原爆は性別、年齢、国籍、職業の区別なく被害を与え、1945年末までに14万人の人々が亡くなったと言われています。生き残った被爆者は原爆による後遺症に今も苦しんでいます。私たちに原爆の恐ろしさを語ってくれる被爆者の方は少数で、多くの被爆者は「あの日のことを思い出したくもない」と家族にさえ語っていません。体と心を傷つけられ、家庭が崩壊してしまった被爆者もいます。原爆に家族や友人・知人を奪われた被爆者もいます。また被爆二世・三世にも原爆被爆の遺伝的影響が及ぶ可能性があります。

原爆は過去のことではありません。原爆の投下は明らかに戦争犯罪です。

昨年の朝日新聞社の被爆者のアンケートでは「米国大統領が広島・長崎を訪問すべきか」の問いに、5762人のうち1385人(24・0%)が「訪問すべきだが謝罪は必要ない」と答え、「訪問して謝罪すべきだ」としたのは2500人(43・4%)に上っています。

2009年オバマ大統領はプラハで「核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があります。米国だけではこの活動で成功を収めることはできませんが、その先頭に立つことはできます。」と演説し、ノーベル平和賞を受賞しました。しかし米国はその後も臨界前核実験やZマシンを使った核実験を続けています。核兵器を使用した米国が未だに核兵器を保有し続けることで、核兵器保有国が増え、核兵器を使用しようとする国さえ出てきています。とても米国が核廃絶の先頭に立っているとは言えません。

オバマ大統領は広島に来るなら長崎も訪れるべきだし、韓国人被爆者をはじめ全ての被爆者に謝罪すべきです。

核兵器廃絶に必要なことは、まず自国の核兵器を全て廃棄することです。そして核兵器を使用した米国政府が世界中の全被爆者に謝罪し、補償をすることです。

オバマ大統領に安倍総理大臣が同行しようとしています。

3月18日の参院予算委員会で横畠裕介内閣法制局長官は、「憲法上、あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているというふうには考えていない」と述べました。さらに「核兵器は武器の一種。核兵器に限らず、あらゆる武器の使用は国内法、国際法の許す範囲で使用すべきものと解している」とも述べています。その日の記者会見で菅官房長官は「(核兵器使用は)あり得ない。法制局からは過去の国会答弁を踏まえて答弁したと報告を受けている」と答えました。しかし、安倍総理大臣が官房副長官であった2002年、早稲田大学で「自衛のための必要最小限度を超えない限り、核兵器であると、通常兵器であるとを問わず、これを保有することは、憲法の禁ずるところではない」と述べています。2011年、東京電力福島第一原発が大事故を起こした後に石破政務調査会長(当時)は、核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発が必要との認識を示しています。

オバマ大統領を広島に来させることによって安倍総理大臣が核廃絶に向け力を尽くしているというパフォーマンスをし、被爆者問題を終結させた上、日本の核武装を目論んでいるのです。また、夏の参議院選挙での勝利に利用し、改憲を狙っているのです。

今も被爆者たちは原爆症の認定基準を改めて欲しいと裁判を起こしています。長崎では政府が被爆者と認めず「被爆体験者」とされた方々が、被爆者と認めて欲しいと裁判を起こしています。広島では黒い雨の被害地域を広げ、被爆者と認めて欲しいと裁判を起こしています。韓国人被爆者を初めとする全ての在外被爆者は裁判を起こさなければ被爆者援護法が全く適用されませんでした。しかも在外被爆者には未だ一部の援護法が適用されていません。その上、朝鮮民主主義人民共和国に住む被爆者には今も被爆者援護法を全く適用させていません。

安倍総理大臣はオバマ大統領と共に核廃絶に全力を尽くしたいというのなら、まず全ての在外被爆者に被爆者援護法を完全適用させ、原爆症を過小評価する認定基準を改め、被爆体験者や黒い雨の被害者を被爆者と認めるべきです。そして、アメリカの核の傘から脱却し、アジアの被爆者に対し、日本の侵略戦争の結果被爆させてしまったことを謝罪し、補償をすることです。

2016年5月18日

アジア共同行動(AWC)日本連絡会議

関連資料

» オバマ米国大統領の広島訪問にたいする抗議声明(PDFファイル・約308KB)

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