2019岩国反基地行動をたたかう!報告その2
二日目の2019岩国行動は、基地のフィールドワークが早朝から行われました。そして9時から、国際連帯集会です。約100名の結集でした。冒頭に、鴨居代表が日米軍事一体化反対、改憲―戦争のできる国家化を阻止し、安倍政権を打倒しようと訴えました。安倍政権の差別排外主義、戦争態勢への転換のなかで、あらゆる差別に反対してたたかうことも、AWCの役割であることを集会参会者とともに確認していきました。
その後、国際連帯集会の基調が司会から読み上げられました。そして、岩国現地から田村順玄さん(前市議、愛宕山平和研究所)の報告を受けました。田村順玄さんは、自撮り、髭剃り、手放し、読書、飲酒なとをしながら、米軍機のパイロットが操縦していたことが共同通信から暴露され、早速、米軍機の事故報告書を手に入れて、ないもしない岩国市を弾劾し突き上げながら、基地強化反対の闘いを行っています。爆音訴訟の展開、基地共存を主著する福田市長を引きづり降ろす住民監査請求ー裁判闘争を進めています。つづいて地元岩国から戸村さんが、岩国基地の米軍機の飛来を写真展示とともに詳しく説明され、中国や朝鮮民主主義人民共和国への戦争演習の状況を訴え、糾弾していきました。イージス・アショアの萩配備に反対する現地の方、上関原発に反対する現地住民運動の方、AWC韓国委員会、フィリピン・バヤン、米国ANSWER連合、関西生コン労組、岩国労働者実、沖縄反基地闘争、横田反基地闘争、反原発闘争、AWC/youthなど、次々と発言、アピール、メッセージが続きました。(式次第を参照してください。)
2019岩国国際連帯集会 式次第
□11月17日(日) 9:00~12:00 岩国市民文化会館 小ホール
□プログラム
9:00 開場、司会あいさつ
9:05 開会あいさつ (鴨居守さん/アジア共同行動日本連 共同代表) 5分
9:10 基調報告 (10分)
9:20 岩国をはじめ基地地元からの発言(45分)
岩国 (田村順玄さん/前岩国市議、あたごやま平和研究所) 30分
萩・阿武 (藤井郁子さん/総がかり行動・萩 共同代表) 15分
10:05 海外からの発言 (25分)
滞日フィリピン人団体から (BAYANジャパン)
韓国からビデオレター(AWC韓国委員会)
10:30 休憩(10分)
10:40 各地・各分野からのアピール (合計約60分)
沖縄から (キム・チミョンさん/ジュゴンの海店長、辺野古カヌー隊)
横田から (大森進さん/東京労組副委員長、米軍基地に反対する実行委委員長)
労働者から(南守さん/岩国・労働者反戦交流集会実事務局長)
反弾圧アピール (全日建連帯労組関西生コン支部から)
<反弾圧カンパ要請>
上関から (高島美登里さん/上関の自然を守る会)
反原発運動から (木原壯林さんからメッセージ)
青年運動から (AWC youth)
11:40 デモの案内・注意事項 (5分)
11:45 閉会のあいさつ(瀧川順朗さん/アジア共同行動日本連 共同代表) (5分)
11:50 終了
岩国国際連帯集会 基調
朝鮮半島情勢が対話局面であった昨年とは正反対に、第二次朝米会談の決裂から始まった今年、2019岩国行動は極めて厳しい情勢の中で取り組まれます。この一年間、戦争する国づくりのために基地の強化・拡大・新設、朝鮮半島南北への敵視と制裁の政治、植民地支配の事実の「正当化」、そして岩国行動を共に作ってきた労働組合への時代を画する大弾圧が進行しました。東アジアと朝鮮半島、そして世界の平和を切望する私たちと、戦争や戦争恫喝による覇権の維持・拡大を望む勢力との正面対決として、今年の岩国行動をともに闘いましょう。
◇ 艦載機移駐完了=米軍機120機体制で激増する戦闘機事故と騒音被害
艦載機移駐完了からまもなく2年。この間、岩国基地所属の米軍機は大事故を繰り返してきました。昨年3月移駐完了した岩国所属の空母艦載機スーパーホーネットは、昨年1年だけで3回の大事故を起こしました。最初は6月グァムで、二度目は11月12日沖縄沖合での墜落事故、三度目は12月6日高知沖で空中給油機と衝突し2機とも墜落・6名死亡の大事故でした。今年5月7日、米国外では唯一岩国に配備されているF35Bが岩国基地から離陸時にバードストライクでクラスA(エンジン破損)の大事故を起こしています。まだ日本側に報告されていない事故もあると思われます。報道によれば、高知沖6名死亡事故の調査過程で、米軍の飛行中の手放しや読書、髭剃り、自撮り、飲酒など事故に直結する行為がまん延している事実が確認されました。さらに2016年沖縄でF18と空中給油機の接触事故があったにもかかわらず日本側には報告されず、そのことが高知沖での死亡事故につながった疑いがあることも明らかになりました。これらの大事故は、安倍がトランプから爆買いした空自F35Aの三沢での死亡事故を見ても明らかなように、なによりもその根本的な問題は、パイロットの命も地元住民の命も顧みない最新鋭戦闘機の本質によるものです。
また、艦載機移転で海兵隊基地と同時に海軍基地になった岩国基地の戦闘機騒音は、一年を通じて天井知らずに増大しています。2019年3月末までの1年間に岩国市に寄せられた基地関連の騒音などの苦情は6509件に及び、過去最多だった前年度の(3543件)の実に1.8倍と激増しています。また、今年の5月や9月には岩国市も認めていない陸上空母離着陸訓練(地上の滑走路を甲板に見立てて離着陸を繰り返す訓練=FCLP)が実質上行われ、今後、岩国基地で本格的な着艦訓練や夜間着艦訓練が行われていくのではないかと憂慮されています。
増大する事故と騒音に反比例して、米軍はますます秘密主義となり、岩国の戦闘機が日々飛来する広島でも、それが米軍機か自衛隊機かさえ米軍は明かさなくなっています。防衛施設局も、米軍機がどこをどのようなルートで飛行しているかさえ把握しようとせず、市民運動の側からの粘り強い監視と抗議が続けられています。
◇ 岩国基地の強化・拡大と連動し、強化される米軍・自衛隊基地。萩・阿武へのイージス・アショア配備を絶対阻止しよう!
岩国基地は米軍のハブ(中継)空港化していると市民は批判します。多くの米軍機が岩国基地を経由して全国で訓練する結果、事故もまた全国で増大しています。岩国基地の強化は全国の問題になっているのです。4月1日、岩国基地を飛び立って神奈川の厚木基地に向かうはずの普天間基地所属オスプレイが住宅密集地にある大阪伊丹空港に緊急着陸して、地元住民の怒りをかいました。東京・横田基地所属のオスプレイは、岩国、嘉手納を経て、米軍を中心にした多国間軍事演習に参加しています。
日米政府は「沖縄の負担軽減」を口実に空中給油機を岩国に押し付けたのに、普天間飛行場には岩国のF35Bが飛来し、休日もおかまいなしに深夜まで爆音をまき散らしています。岩国基地の強化と連動して、佐世保米海軍基地では新型の強襲揚陸艦が配備され、岩国のF35Bを搭載して朝鮮半島へと向かいます。米軍は岩国のF35Bを来年にも追加配備し倍増の32機体制とする予定で、軍拡はとどまるところを知りません。さらに、2026年までに現行のC2輸送機に代えてオスプレイの岩国配備も画策されています。これらが朝鮮半島と東アジアの緊張を高め続けています。
とりわけ注目すべきことは、米軍との軍事一体化のもとで自衛隊基地が侵略戦争の拠点としてますます強化されていることです。安倍政権は山口駐屯地むつみ演習場にイージス・アショア配備を画策し、米軍岩国基地との一体的運用を想定した弾道ミサイル迎撃システムを構築しようとしています。特にレーダーの照射を直接受ける阿武町では、住民はもちろん議会や町長も強く反対しています。一度基地ができてしまえばどんどん増殖します。京丹後で明らかになっているように、米軍や日本政府が基地を作らせるために住民との間に結んだ約束は、いったん基地が完成すれば次々に反故にされます。京丹後Xバンドレーダー基地撤去の闘いや、韓国星州ソソン里のサード撤去闘争と結合して、萩・阿武へのイージス・アショア配備を必ず阻止しましょう。
また福岡県の築城航空自衛隊基地も滑走路延長で米軍拠点化されようとしています。宮古など南西諸島でも自衛隊の配備強化が進んでいます。2019岩国行動は、岩国基地の強化と連動したこのような西日本~南西諸島での米軍基地・自衛隊基地の強化にも注目して取り組みます。
◇岩国の歴史は語る。安倍政権の韓国敵視-植民地支配と侵略戦争の正当化を許さない!
昨年10月の「徴用工」問題をめぐる韓国大法院判決以来、安倍政権は韓国への輸出規制を強め、韓国敵視政策を続けています。その根底にあるのは、日本の朝鮮半島侵略と植民地支配に対する完全な正当化です。しかし、日本軍「慰安婦」問題と同様に、朝鮮人強制連行への国家として正式な謝罪や法的賠償がなされたことは一度もありません。
ここ岩国基地とその周辺においても、まだその傷口は開いたままです。安倍の地元である山口県に強制連行された朝鮮人は全国で4番目に多く、1943年末の統計によると人口の約1割にあたる朝鮮人労働者とその家族がいたことが分かります。極秘裏に進められた山口県周南市大津島の人間魚雷「回天」基地の建設、1941年岩国燃料廠の建設(1945年5月10日の岩国大空襲で壊滅)、敗戦間際に突貫工事で建設された愛宕山地下の第11海軍航空廠岩国支廠(航空機製造・修理工場)の建設など、軍事基地・軍事施設の建設に朝鮮人労働者が動員されました。厳しい差別のなかで危険で過酷な労働に就かされ、多くの犠牲を払わされました。それだけでなく、民間工場での朝鮮人労働者の強制労働も行われました。その結果、多くの朝鮮人労働者とその家族が、過酷な労働と米軍の空襲などによって故郷に帰れないまま亡くなったのです。
「徴用」以外に「募集」や「斡旋」という名目で朝鮮半島から日本に渡った人々も、日本帝国主義の朝鮮併合-植民地政策で故郷での生活の手段を奪われ、やむなく危険を冒して渡日した実質上の強制連行であったことは安倍がどう言おうと歴史的事実です。そのような日本国家の責任を隠蔽・否定し、無かったことにし、在日コリアンへの差別を再生産する安倍政権を絶対に許すことはできません。また、米軍基地との共存をうたう岩国市が「岩国航空博物館」のような形で岩国基地をテーマパーク化し、実際の岩国基地の役割と基地建設の歴史の事実を覆い隠すことも私たちは容認できません。
◇ アジア太平洋地域の民衆と連帯し、戦争反対、東アジア平和のための希望を岩国から創り出そう!
歴代最長の長期政権となった安倍政権の腐敗は深まっています。閣僚の無数の汚職や違法行為、何の解決もされなかった安倍首相本人の犯罪、さらには労働法制改悪や福祉切り捨て、消費税増税などの生活破壊、また民意を無視した辺野古新基地建設の強行、老朽原発の再稼働や上関原発新設-強行測量、ホルムズ海峡問題での有志連合参加問題-「調査・研究」を口実とした自衛隊の中東派遣の指示、さらには改憲策動など、戦争につながる危険なたくらみも次々と強行しています。
また、新たな戦争前夜を思わせる関西生コン支部への労組破壊の大弾圧が、すでに1年以上継続しています。個別労組への弾圧を越え、憲法28条で保障された当たり前の労働運動を根こそぎ破壊し、あわせて共謀罪の先取り弾圧ですべての市民運動・抑圧された諸階層の闘いを封じ込めるための弾圧につながるものです。このような安倍政権の戦争する国づくりとの対決は、一貫した岩国行動の課題です。
安倍政権は、韓国に対する輸出規制問題で対立と差別と排外主義をあおり、自らを正当化しています。韓国では、今年の夏に韓国輸出規制を契機として反安倍の大衆運動が拡大し、日米韓の軍事同盟形成の最後の環として2016年に安倍政権が強行した日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)も破棄されました。6月G20大阪開催でも、韓国平和活動家に問答無用で相次ぐ入国拒否が打ちおろされ、安倍政権の韓国憎悪がむき出しになっています。
このような時代だからこそ、朝鮮半島やアジア・沖縄の民衆とともに、岩国基地の地元から、全国から、世界から、生活を破壊する基地はいらない! 米軍基地はアジアから撤収せよ! 植民地支配と侵略戦争の正当化は許さない! 韓国民衆と連帯しよう! 東アジアの平和を創ろう!ともに「安倍をたおそう」の大きな声を上げ、2019岩国行動を成功させていきましょう。
(了)
内容豊富な国際連帯集会で、「生活と平和を破壊する基地はいらない!米軍基地はアジアから撤収せよ!植民地支配と侵略戦争への居直りは許さない!韓国民衆と連帯しよう!安倍をたおそう!東アジアの平和を創ろう!」をしっかりと押さえていきました。
そして岩国基地への抗議デモです。次のコールを訴えていきました。「岩国基地はいらない。艦載機を撤去しろ。爆音はいらない。静かな空を返せ。低空飛行をやめろ。静かな瀬戸内を返せ。愛宕山米軍住宅反対。アタゴヒルズはいらない。基地との共存はできない。オスプレイはどこにもいらない。イージス・アショアを配備するな。関生弾圧やめろ。組合つぶしをやめろ。Xバンドレーダー撤去しろ。自衛隊基地の強化反対。横田基地はいらない。原発はいらない。原発再稼働反対。日米安保反対。憲法改悪反対。安倍政権を倒そう。沖縄とともにたたかおう。辺野古埋め立てをとめよう。韓国民衆とともにたたかおう。サードミサイルどこにもいらない。アジアから基地をなくそう。東アジアの平和をつくろう。英語コール/No Base, For Peace!(平和のために基地はいらない)、ノー・ベース、フォー・ピース!US Troops, Out Now!(米軍は今すぐ撤退を)、ユーエス・トゥルップス・アウト・ナウ!Kick Out US Base! (米軍基地を追い出そう)、キック・アウト、ユーエス・ベース!
岩国基地前では、イエローライン(米軍基地敷地の表示)に際して、立ち止まって、強く抗議を主張しました。デモ解散地点で、集約を行い、2019岩国行動の豊富な内容を各地で持ち帰って、いっそう闘いを強めていくことを決意していきました。
|