AWC日本連第26回総会(3月13日)の報告
アジア共同行動日本連第26回総会決定集
第1部ではAWC韓国委員会から韓国報告(字幕付き)が20分ほど行われました。報告は、韓国の政治経済情勢、脱原発をめぐる状況、朝鮮半島平和に関する現在の情勢評価、韓日労働者連帯の方向性など、包括的な内容を提起するものでした。その中でAWC韓国委員会のホ・ヨングさんは、当面する韓日労働者連帯の必要な方向性について、①資本主義搾取、貧困と差別に立ち向かう階級的労働者連帯闘争、②保守政治勢力に対抗する進歩左派政治の活性化、③原発マフィアに対抗する全地球的脱核運動、④帝国主義侵略と支配に立ち向かう反基地反戦平和運動、⑤新型コロナウイルスの時期に、映像等を通したオンライン連帯活動を積極的に摸索、と提起しました。その後、予定された時間いっぱいオンラインでの活発な質疑応答が行われました。質疑内容は割愛しますが、オンラインであっても時間をとって質疑・討論をすることの重要性が参加者に実感されました。またホ・ヨングさんが提案した日韓労働者連帯の方向性について、さらに具体化していく議論もAWC国際事務局で予定しています。
アジア共同行動日本連第26回総会第1議案
(2020年度の活動総括と2021年度の活動方針)
(1)2020年度の活動(全国取組みを中心に)
3月6日~10日 AWCフィリピン訪問団送り出し(2・29京都で前段学習会)
3月22日 第25回日本連総会(東京開催)
4月6日 「在沖・在日米軍基地を封鎖し、米軍の移動を禁止せよ」要請文を政府宛てに提出
4月8日 「安倍の『緊急事態宣言』を弾劾する」日本連声明
4月下旬 AWCユースと青年が「コロナを口実とした差別排外主義の強化反対!外国人労働者・市民に保障と権利を!」声明を発表
5月1日 AWC韓国委員会から京都地域メーデー集会に連帯メッセージ
5月7日 フィリピン訪問団報告会(京都)
コロナ禍で例年の5.15沖縄派遣は中止。
5月末に関生弾圧で2年近く拘束された委員長と副委員長が釈放!
6月12日(フィリピン独立記念日)フィリピン訪問団報告パンフ(300円)発行
6月~7月 6月アジア共同行動各地集会(九山口6/20、東京6/21、京都7/4)
7月17日 白バス弾圧国賠裁判(大阪地裁/不当判決)
8月2日 日本連全国会議(京都開催)
8月6日 広島青空式典&写真展。同日ソウルでAWC韓国委など記者会見(日韓共同行動でメッセージ交換)。
8月15日 AWC日本連通信14号
9月5日 日本連反戦夏季合宿(京都開催)
9月6日 老朽原発うごかすな大集会(AWC九州からも参加)
10月30日 岩国・労働者反戦交流実集会(大阪)
10月31日 日本連全国会議(京都開催)
11月8日 いらんちゃフェスタへのサード撤去闘争ビデオメッセージに協力
11月23日~12月9日まで老朽原発うごかすな!リレーデモ
11月28-29日 2020岩国行動、岩国現地で開催
年末 AWCユースが入管収容者年末プレゼント運動と各地でのカンパ集め
12月から、韓国サンケン支援で各地のサンケン企業への抗議行動が開始され、各地でAWCとして参加
1月1日 反弾圧元日行動
1月31日付 「日本軍性奴隷制被害賠償裁判の判決を支持するとともに、これを蹂躙し賠償と謝罪を拒否する日本政府を弾劾する声明」を発行
2月4日 「白バス」事件国賠訴訟控訴審が勝訴(相手側上告で最高裁へ)
2月6日 AWC日本連通信15号の発行
2月6日 日本連全国会議(京都開催)
3月6日 「米韓合同軍事演習の中止を求める声明」(東京で米大使館前抗議行動)
3月10日 日韓オンライン学習会「すべての核の廃棄のために」第1回開催
3月11日 東電前日韓同時「汚染水問題」共同行動
3月13日 日本連全国会議(京都開催)
(2)2020年度の日本連活動を振り返って
2020年度は、1992年AWCスタートと1996年日本連結成以来、コロナ禍の中で、初めて海外のAWCの仲間を訪問することも、また招請することもできなかった1年になりました。ですが、コロナ禍と自粛ムードの中で、全国的に多くの取り組みが中止になった中で、AWC日本連と各地実行委員会では、充分な注意を払いながらも、主要な年間取り組みをやり切りました。また一昨年に続き、AWCユースの活動も活発に展開され、新しい仲間も増えてAWC運動の大きな推進力になりました。
2020年3月22日第25回総会は、最初の緊急事態宣言が出される直前の状況のなかでしたが、東京に集まって開催しました。日本連は、この時期、コロナ感染拡大の元凶としての米軍を批判する防衛省申し入れ書や、コロナ緊急事態宣言を批判する声明などで存在感を示したと言えます。
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年度としては前年度になりますが、マニラのロックダウンの直前となった3月上旬のフィリピン訪問団は、前段学習会(滞日フィリピン人団体から招いて)と報告集、報告会の組織化は、青年層を含んだ訪問団という意味でも重要で、貴重な実践となりました。
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6月アジア共同行動は、AWC韓国委ホ・ヨングさんのビデオメッセージを受けて、全国3か所(東京、京都、九州/山口)で、それぞれのテーマで開催されました。予想外に、各地とも新しい参加者も参加し、安倍政権下での閉塞状況にコロナ禍まで重なった状況の中でも国際連帯の必要性を感じる人々がAWC集会に参加したといえます。昨年は、例年ゲスト受け入れ企画を開催してきた地域(神戸、福山、名古屋ほか)では、海外ゲストの招請がなかったこともあり企画を組織化できませんでした。後でも触れるように、オンライン接続での集会の可能性も追求していく必要があります。
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9月反戦夏季合宿では、例年は反基地運動や基地地元の交流・フィールドワークとセットにして1泊2日で企画してきましたが、今年はそのような形での開催は断念せざるをえませんでした。ですが、折からのイージス・アショア問題の撤回という新しい状況の報告や、米軍コロナ感染問題が拡大する京都府経ヶ岬米軍Xバンドレーダー基地に関する報告などをテーマに、AWC会員自身が報告する形で準備しました。また、京都で開かれたことを活用して、AWCユースが広く呼びかけをして青年層が参加してくれました。各地から約40名が参加する合宿となりました。
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約100名が参加した11月2020岩国行動については、別紙総括文(2月6日全国会議で確認されたもの)がありますので、ごらんください。さらに意見を受けたうえで、今総会では、2021岩国行動のおよその日程なども相談します。また朝鮮戦争70年・新滑走路運用開始10年の節目に闘われた2020岩国行動の報告集を作成しています。
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また例年行ってきた8.6広島青空式典はコロナ禍でも行われ、同日2013年から続けてきた日韓同日の反核の共同行動も8回を数え、さらにトランプ大統領のトリニティ核実験賛美発言への抗議文を日韓共同で米大使館に送ることができました。
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AWC京都も共催して準備した昨年3月の韓国反核活動家の訪日企画は、コロナによる入国禁止で直前に中止せざるをえませんでした。ですが、今年3月10日には日韓オンライン学習会「すべての核の廃棄のために」第1回開催が行われました(主催は同実行委)。ソウルにメイン会場を置き、京都会場に約20名、オンラインで繋がったのが日韓約35ヵ所、推定ですが合計70名以上が参加したと思われます。
(3)全体で共有したい新しい努力や前進(各地報告を兼ねて)
AWC日本連全体としてコロナ感染拡大と格闘しながら(2)で見たように活動しました。そのほかにも、各地で、また主要な団体でも、活動を維持しただけではなく、これまでの枠組に留まらない新しい努力や前進が闘い取られてきました。
詳細は割愛しますが、総会では第1議案の1部分として、以下の7つの地方や団体から各6-7分程度で報告を受けました。各地の特色ある活動が報告され、他地域からも関心を持って交流する機会にもなるので、活動日誌のほかに特徴的な活動や問題意識を共有するような報告メモを用意してもらうのが良いでしょう。
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九州・山口からの報告(別紙)
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京都からの報告(別紙)
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愛知からの報告(別紙)
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首都圏からの報告(別紙)
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関西生コンからの報告
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AWCユース(別紙)
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労働者実から
(4)2021年の政治情勢
2020年は、8年続いた安倍政権が二度目の政権投げ出しともいえる辞任劇で終了し、安倍政権の継承を掲げる菅政権が誕生しました。また米国でも民主党バイデン政権が成立しましたが、日米軍事同盟の強化、米軍と自衛隊の一体化と自衛隊の侵略軍隊化はますます進むと予測せざるをえません。
第一に、安倍を引き継ぐ菅政権も強権政治を敷き、9条改憲−戦争国家化をねらっています。GOTOキャンペーンなどの停止の遅れでコロナ感染を拡大し、コロナ対策は特措法や感染症法に強権的な罰則導入の改悪をしただけです。また総務省官僚接待など接待・贈収賄を生み出すなど、行政利権と不正腐敗を構造化しています。菅改憲阻止−菅政権打倒をたたかおう。
第二に、沖縄差別を許さず、辺野古新基地建設阻止−普天間基地撤去のための闘いを強めると同時に、反戦平和・反基地闘争を岩国、築城、佐世保、京丹後、横田、木更津など基地周辺の住民とともに闘おう。国際連帯で米軍基地のアジアからの撤去、自衛隊海外派兵反対を闘い、日米安保に対する闘いを広げよう。
第三に、反原発、核兵器廃絶の闘いを進めよう。特に40年超え老朽原発再稼働を強行しようとする動き、福島原発汚染水を地元と世界の声を無視して海洋投棄しようとする動き、被爆隠しの東京オリンピックの強行開催の動きが激しくなっています。これらを断念させるために全力を尽くそう。
第四に、在日・滞日外国人、性的マイノリティなどすべてのマイノリティ差別と排外主義に反対し、差別抑圧された人々の解放闘争に連帯し、ともに闘おう。
性的マイノリティへの差別に反対し、共に闘えるAWC運動を作るためにも方針に明記してほしいという意見が出され、確認しました。
第五に、貧困と貧富格差を許さず、新自由主義に反対していこう。労働運動や市民や若者の反貧困・反格差の闘争に連帯していこう。コロナ禍での生活と雇用へと補償や支援金を充実させよう。
第六に、関西生コン労組弾圧に反対し、支援を強化するとともに、労働組合と労働運動破壊の弾圧に反撃しよう。労働者民衆の国際連帯を妨害するすべての弾圧と闘おう。
第7に、韓国の元徴用工、元「慰安婦」など被害者への日本政府・企業への謝罪と戦後補償を実施させよう。日本の植民地支配への日本政府の謝罪と賠償を実現させよう。日米のあらゆるアジア侵略支配に反対し、アジア太平洋地域の労働者民衆の国際連帯を前進させよう。
植民地支配への日本の植民地支配への日本政府の謝罪と賠償を明記してほしいとの提起があり、確認しました。
(5)2021年度の方針と当面する活動の強化基軸
今年も、6月アジア共同行動、8月反戦夏季合宿、11月岩国行動を全国の力を結集して取り組みましょう。
3.13総会での検討を経て、以下のように提起します。
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2021岩国行動について
総会では、2021岩国行動の日程と場所を下記のように確定しました。参加できるようスケジュールを空けておいてください。
日時:11月20日(土)-21日(日)
場所:岩国市民文化会館小ホール、40人程度の集会室、控え室を予約済み。
2日目の21日は、愛宕山見守りの集い(10時~11時半)の日なので、国際連帯集会を例年のように2日目の午前に行うことはできないため、日程を工夫する必要があります。(例えば、1日目に集会をすべて行い、2日目は希望者のフィールドワーク、全員で愛宕山見守りの集いに参加した後、愛宕山からデモ出発など)
また、希望者には22日にかけ、オプション企画を組むことも検討します。
2021岩国行動の日程も入った「朝鮮戦争70年、岩国が問うていること:2020岩国行動の記録」(500円)も4月末から販売開始します。
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6月アジア共同行動について
総会では時間がなく詳細を詰められていませんが、今年も6月アジア共同行動をAWCの内容を直接的に打ち出す取り組みとして全国で取り組みましょう。
現在の東アジアをめぐる情勢-米国の政権が変わっても米中対立が引き続き激化し、そのもとで日米、米韓の軍事同盟強化と軍事基地の強化が進み、中国と朝鮮民主主義人民共和国への差別と排外主義の煽り立てによって、ますますアジア民衆が分断され対立させられていく情勢に立ち向かい、辺野古新基地建設や自衛隊の侵略軍隊としての強化、入管法改悪や原発汚染水海洋放出などアジア民衆に敵対する菅政権と闘うものとして。
6月段階では、コロナの影響で海外ゲストの参加は困難ですが、ビデオメッセージやオンラインを通じて共同行動を追求します。ゲストの来日がないので、日程的にはフリーハンドですが、バラバラではなく一連のアジア共同行動各地集会として行えるように準備していきましょう。(京都:6月12日予定)
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8月反戦夏季合宿
これも総会では検討できていませんが、その後の事務局議論では2021岩国行動の内容を作っていくために、講師を招請(オンラインもあり)して十分に学習・討論する場をするのはどうかと考えます。例えば去年の岩国行動にメッセージをいただいた佐世保の篠崎正人さんや、長く日本連運動に協力いただいている纐纈厚さんなどを念頭に置いています。引き続き検討していきましょう。
海外ゲストの招請や沖縄派遣や11月韓国労働者大会訪韓団などは、ワクチン接種が開始されつつありますが、まだ見通しの立たない状況が続くと考えねばなりません。そのようなコロナ禍の中で、また数年をかけて強化していくAWC運動の拡大の基軸として、以下のような課題を新しく設定してはどうでしょうか。他にもあれば出してほしいと考えます。
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朝鮮戦争休戦70年となる2023年に向けて、日米軍事同盟反対闘争(軍事演習等)を計画的に・出来るだけ全国闘争として積み上げて行く(例えば、休戦記念日7月27日前後の米大使館・領事館前行動、岩国基地前行動など)。
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AWC-CCB会議が再開できるまで、定期的なAWC各国の運動との、ある程度まとまった内容を持っての相互交流企画(オンラインでも良いし、文書交流でも)。韓国とは定期的な交流を維持しているが、他に特に米国、フィリピン滞日組織との交流も含めて始めて行きたい。台湾やインドネシアは言語上の困難が伴うかもしれないが。
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AWC運動に関心を持つ青年層と出会い、特に青年層の国際連帯への参加を拡大する意味でも、徴用工裁判や日本軍性奴隷制被害者の闘いへの連帯とともに、日本帝国主義の侵略の歴史を知る機会を意識的に作る(ex.岩国行動の際に、朝鮮人を動員して作られた愛宕山地下壕や、広島大久野島の毒ガス工場跡に寄るなど)。
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AWC運動を通じて関係を作ってきた専門家(各地の基地問題、原発問題、外国人労働者問題、入管問題、)を(オンライン・オフラインともに)招請して、一緒に学習する。聞いて質疑するだけでなく、日本連側からも報告をするような形で。
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労働運動面での課題(例えば最賃闘争、メーデー、スミフルやサンケンの連帯闘争をAWCにどのように蓄積するか)※韓国バス労組からの問合せなど
全体に関わる意見として、AWCはこれまでアジアなど海外との連帯を中心に活動してきたが、それとともに日本国内での在日や滞日外国人との連帯のための活動、入管・難民法の改悪に反対し、入管体制そのものに対する闘いも強める必要があるのではないかという意見も出されました。AWC各地ではそれぞれの地域で朝鮮学校支援や外国人労働者問題などに関わっていますが、日本連全体の運動の中にも大きな方針として打ち出し具体化していくことを確認しました。
(6)日本連事務局体制の強化
全国事務局のもとに、いくつかの専門チームを作ろう。予算も付けようではないか、という提案です。AWC会員の力を貸してください。
※「日本連通信」編集チーム
※オンライン会議支援チーム
この他に、第二議案の会計報告では、2021年前半期はコロナ禍による海外との往来の再開が難しいことを考慮して、国内活動にも予算を配分していくことなどが確認されました。
第三議案(人事)では、10年にわたり共同代表を担ってこられた鴨居守さんが辞任され顧問に就任されることが確認されました。それ以外の共同代表、全国幹事、全国事務局・事務局長は留任が確認されました。AWC運動を担っていく新しい世代を増やしていくことが急務です。(以上)
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