AWC日本連声明「米軍基地由来のコロナ感染拡大を弾劾する!」
米軍基地由来のコロナ感染拡大を弾劾する!
連日、在日米軍基地からのコロナ感染の爆発的拡大が続いている。
昨年末から在沖米軍キャンプハンセンでの新型コロナウイルス集団感染(クラスター)が発生した。これを契機に、在日米軍が昨年9月3日以降出国前と日本到着時にPCR検査を行っていなかったことが判明した。沖縄県の玉城デニー知事は、新年早々の2日記者会見を通じて、沖縄県内で市中感染が拡大しているオミクロン株が米軍基地の感染拡大に由来しているとの遺伝子分析の結果を示し、「米軍が要因となったのは間違いない。米国の状況を日本に、沖縄に持ち込むな」、「米軍の感染防止対策と管理体制の不十分さを示すもの」として激しい怒りを表明した。また、米軍は沖縄県に感染者総数は提供しているが、基地ごとの陽性者数など詳細な情報を公表していないことに対して「軍に特権的な地位を与え、感染予防対策に関する情報共有もままならない」として、感染対策の障壁となる日米地位協定の改定を日米両政府に求めた。
このような事態は沖縄に留まらない。横田や横須賀基地でも米軍の対応は同じだ。昨年末、山口県の在日米軍岩国基地でも再び米軍基地関係者の感染が急増し、爆発的と言える感染拡大が始まった。これら米軍の感染者も外出制限措置を受けていなかった。岩国米軍基地での感染拡大は、隣接する広島にも拡大した。岩国基地の米兵の多くが広島に遊びに行くからである。基地との共存をうたう岩国市の福田市長さえ「水際対策に抜け道があった。日米政府間で対策を確認していれば、今回の事案になっていなかった。」と述べざるをえなかった。また、関西でも京都府京丹後の米軍Xバンドレーダー基地で米兵や基地関係者の感染が増加している。
岩国米軍基地に反対する地元住民団体が連名で発した山口県知事への「緊急要請」文(1月7日付)では、米軍基地内の新型コロナウイルス感染拡大防止策は、『穴の開いたバケツ』で、そこから市中感染が広がったと指摘。山口県に「まん延防止等重点措置」が決定されるなら市中感染の要因と考えられる『在日米軍』に対して実効性のある措置もセットにすべきで、住民生活が深刻な事態になっている今こそ『在日米軍』に国内法に基づく感染対策を実施させるためとして、米軍基地の運用停止と外出禁止や、米軍基地構成員・軍属・家族などへの教育や、米軍基地内で働く従業員・出入り業者の健康保護の支援、基地内感染状況を県として情報共有できるよう基地側に要請することなどをはじめとする対策を要請している。言い換えれば、このような措置が、米軍からも日本政府からも何一つまともに行われていないということだ。米軍基地からの感染爆発によって「まん防」や緊急事態宣言で市中の飲食店がつぶれていくのに、岩国米軍基地内で酒の提供が行われ続け、何の説明もない。この感染爆発の最中の1月14日にも「遠征洋上基地」と呼ばれる米海軍の大型艦船「ミゲルキース」が昨秋に続き二度目の岩国寄港を行なった。前回同様、対中国包囲網の軍事訓練の最中に立ち寄ったのだろう。日米・多国間軍事演習が恒常化しているなかで国境も法律も関係なく世界を移動する米軍の動きを止めなければ感染拡大は止まらない。
100年以上前、アメリカで始まった「スペイン風邪」は第一次世界大戦に参戦中の米軍によって運ばれパンデミックをもたらした。今回のオミクロン株感染爆発の直接的原因も戦争マシーン=米軍だった。そして金儲けと覇権のための日米軍事同盟下で、日米安保条約と日米地位協定が、人の命や安全を守るための当たり前の対策ひとつまともに打てない障壁となっていることも明らかになっている。
このような状況の中で、沖縄、岩国、京丹後をはじめ、全国の米軍基地に反対する闘いと連帯して、日米地位協定の抜本改正を大きな世論にし、日米安保条約の破棄、アジア駐留米軍の総撤収という闘いの一歩前進を闘い取っていこう。
2022年1月23日
アジア共同行動(AWC)日本連絡会議
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