-
2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻し、ウクライナ軍との交戦が始まった。これはロシアによるウクライナ侵略戦争だ。ロシア軍の陸海空の侵入は多方面からなされ、激しい戦闘が続く中で、これまでに軍人だけでなく子どもを含む民間人にも、住宅や幼稚園へのロケット着弾などにより多くの犠牲者が出ている。
プーチンは、最初はウクライナ侵攻を否定したが、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」でウクライナ軍がロシア人を攻撃していると非難したのちに国家として承認し、同地域へロシア軍を派遣したのに続き、ウクライナへの全面的な侵攻を発表し、実行した。その後、ウクライナのゼレンスキー政権をネオ・ナチと言いなしてウクライナ軍に決起を呼びかけ、政権打倒を目標に据えていたことが明らかになった。ウクライナはロシアと断交し、徹底抗戦方針を発表。各地で激戦が続いている。両国間の協議が行われたが、その間も攻撃は続き、同時にロシア政府は核兵器使用の可能性までも示唆するに至っている。
ウクライナ人民を殺戮し、その生活を破壊し、その自己決定権を蹂躙するロシア政府を私たちは弾劾し、即時の停戦、ロシア軍の即時撤収を要求する。
-
同時に、今回のロシアによるウクライナ侵略戦争が、ヨーロッパにおける欧米・ロシアの間での勢力の拡張/浸食をめぐる帝国主義的な争いの中で、その一環として勃発したことを忘れてはならない。欧米・NATOは「正義の味方」などではない。米国政府は、第2次大戦以降も、朝鮮半島、ベトナム、アフガニスタン、イラク、シリアなどでの侵略戦争、パレスチナ人虐殺を繰り返すイスラエルへの支援など、全世界民衆の自由と民主主義と人権を蹂躙し、殺戮してきた。また、これらの戦争に加担してきた日本を含む米国の同盟諸国にもロシアを批判する資格はない。
このような覇権争いの延長には何の未来も見えない。第二次世界大戦に発する米ソの核軍拡競争と東西冷戦は40年余り続き、その中で米国が主導してソ連・東欧諸国と対峙する反共軍事同盟としてNATOが形成されたが、ソ連・東欧圏の消滅以後も対ロシア軍事同盟として存続し、資本主義化した東欧諸国を次々に併呑して勢力を拡大した。そしてそれは現在、ロシアと国境を接する、旧ソ連の一部だったウクライナのNATO加盟へと至ろうとしている。この脅威に対する反撃として、ロシアの軍事侵略が準備され遂行されたのは明らかである。このように、NATO側もロシア側も、軍事力と核兵器によって覇権を争うことからは何も生み出されず、問題解決の道も遠のくばかりだ。即時の停戦により、外交と対話による問題解決の途に就く以外に選択肢はない。
-
また、今回の軍事侵略を利用して、「中国による台湾侵攻に対する軍事的準備を強化しろ」、「米国の核兵器を日本に配置することを検討すべきだ」という日本の軍事強化論が高まることを許してはならない。いわゆる「台湾問題」を引き起こしている主な要因は中国ではなく、米国・日本を含む同盟国の東アジア地域での軍事展開だ。米国バイデン政権は中国との対決を看板に据えて、トランプ前政権時の水準を超える対中国措置を次々に打ち出し、日本が提起して作られた日米豪印のQUAD(クアッド)の強化と米英豪のオーカスの結成などに代表される軍事同盟を格段に強めながら様々な国の組み合わせで合同演習を連日行っている。そうすることで中国に圧力をかけ続け、その結果、東アジア地域の軍事的緊張がこの上なく高まっている。中国脅威論を煽って戦争準備を加速させている日本政府および右翼勢力の論理を許さず、しっかり反撃していこう。
-
ロシアによるウクライナ侵略戦争に反対する闘いが世界各地で沸き起こっている。ロシアでも一週間で6400人以上が戦争反対を叫んで逮捕された。ウクライナ侵略戦争反対! ロシア軍はウクライナから今すぐ撤退せよ! 即時の停戦を!全世界の民衆の反戦行動への立ち上がりこそが、戦争を真に止める力となる。国際的な反戦運動に合流し、全世界の人々と連帯して、日本でも、侵略戦争反対!軍事力と核兵器による覇権争いにNO! の声を上げて行こう。