アジア・メッセージプロジェクトの趣旨・目的・取り組み

 

 

 

アジア・メッセージプロジェクトの趣旨・目的・取り組み

 

 

①日本政府はいま、本格的な侵略戦争をアジア-全世界で発動することができる戦争国家へと日本を大きく変貌させていこうとしています。その一方の柱となるものが新日米同盟の形成であり、そのもとで推進される米軍再編・基地強化です。それは日本を米軍の出撃拠点としてさらに強化するだけではなく、米軍と自衛隊の一体化を推進することによって、日米両軍が侵略戦争を共同で発動する態勢をつくりだしていこうとするものです。そして、他方の柱が憲法改悪、とりわけ憲法九条の改悪にあります。自民党は昨年11月の自民党大会で改憲案を決定し、今年の通常国会に国民投票法案を上程しました。そして、秋の特別国会で国民投票法案の成立を強行し、いよいよ国会における改憲案の審議から国民投票の発議に至る過程に向かおうとしています。

②戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法九条は、かつてのアジア侵略戦争の反省にもとづき、ふたたび侵略戦争を行わないというアジア諸国・民衆への誓約と言えるものです。これまでから日本政府は憲法解釈を無理やりねじまげ、日米安保締結や軍備増強・有事法制の整備、イラク派兵などの自衛隊の海外派兵を強行し、憲法九条の空洞化・実質改憲を推進してきました。しかし、このような侵略の軍隊としての自衛隊の海外派兵は、憲法上の制約のために米軍の後方支援にとどまってきました。もし、日本政府がもくろんでいるように憲法が改悪されるならば、これまでの憲法の空洞化・実質改憲が追認されるだけではなく、日本政府はイラク侵略戦争における英軍のように、米軍とともに他国の人民を爆撃し、地上での本格的な戦闘をおこない、他国を軍事占領することすら可能となります。そして、何よりも危険なことは、これらが小泉首相の靖国神社公式参拝などかつての侵略戦争と植民地支配を正当化する動き、朝鮮民主主義人民共和国への敵対意識の煽りたてなどの排外主義煽動、独島(竹島)や釣魚台(尖閣列島)などをめぐっての新たな領土拡張の動きと一体のものとして進行していることにあります。

③したがって憲法九条改悪に反対するたたかいは、沖縄・岩国・座間・横田・厚木など全国各地の米軍再編・基地強化に反対するたたかいとしっかりと結びついていくこと、そしてかつてのアジア植民地支配と侵略戦争の歴史の歪曲・正当化や日本の戦争国家化に反対するアジアの民衆にしっかりと連帯していくことが求められていると言えます。このようななかで、アジア共同行動日本連は、各地において憲法署名京都実行委員会のような憲法改悪に反対する広範な共同行動に参加しつつ、「憲法九条改悪を許すな!アジア・メッセージプロジェクト」を立ちあげていく準備を進めてきました。このプロジェクトは、アジア民衆の連帯と国際共同行動をもって、憲法九条の改悪を阻止することをめざす新しい反改憲運動です。

④私たちはアジア・メッセージプロジェクトを通して、以下のことをめざしていきたいと思います。

(1)アジア各国・地域の民衆に憲法九条改悪の危険性を伝え、憲法九条改悪を阻止することをアジア民衆の共通の課題へとおしあげていくこと。

(2)日本の憲法改悪に反対する大衆運動のなかに、アジア民衆に連帯した反改憲運動の大きなうねりをつくりだし、日本の民衆のなかに憲法九条改悪を許してはならないという確信をおし広げていくこと。

 

②プロジェクトの主要な全体での取り組み

アジア・メッセージプロジェクトは、アジア民衆の連帯と国際共同行動によって憲法九条改悪を阻止していくために、私たちの力で実現可能なあらゆることに取り組んでいこうという運動です。

(1)アジア各国・地域の民衆への情報の提供

日本国内での憲法改悪への動き、改憲案への批判、憲法改悪に反対するたたかいの報告などのアジア各国・地域への発信。アジア共同行動日本連の責任で少なくとも英語・ハングル・中国語で作成し、アジア各国・地域の大衆団体にできるだけ広くいきわたるように努力する。各国・地域における配布は、AWCに参加する各国・地域の大衆団体に要請する。

(2)アジアから日本へ、日本からアジアへのメッセージの発信

アジア各国・地域の大衆団体・個人(在日を含む)にプロジェクトへの賛同・協力を要請し、それらの団体・個人に日本政府による侵略戦争と植民地支配の正当化や憲法改悪への批判、日本の民衆への提起などのメッセージを作成してもらい、これを日本の民衆に広く発信していくこと。また必要に応じてアジア各国・地域の大衆団体に日本政府に対する抗議文の送付などを要請する。

日本国内において、このプロジェクトの趣旨に賛同する団体・個人からアジア民衆に向けて、憲法改悪に反対する立場と想い、それぞれのたたかいの報告などを含むメッセージを作成してもらい、これをアジア各国・地域の民衆に発信していくこと。翻訳の必要から、メッセージの長さはA4一枚以内とする。

アジア各国・地域や日本国内から集まったメッセージは、順次公表していくとともに、適切な時期にリーフレットとして発行する。

(3)アジア民衆に連帯して憲法九条改悪に反対する署名

日本政府にあてた、憲法九条改悪に反対する個人署名に取り組む。署名用紙の末尾に、アジア・メッセージプロジェクトに賛同する各国・地域の大衆団体を列記し、アジア民衆とともに憲法九条改悪に反対するという趣旨の署名として作成する。この署名は、例えば憲法署名京都実行委員会の署名のような、国民投票に備えて有権者の過半数をめざす性格のものではなく、多くの人がアジアとの関係で憲法九条改悪について考えていくきっかけとなり、私たちがアジア民衆に連帯して憲法九条の改悪に反対する必要性を訴えていくための手段となるような署名としていく。

(4)憲法九条改悪に反対する国際シンポジウムの開催

この数年以内の適切な時期に、憲法九条改悪に反対する国際シンポジウムを日本において開催し、アジア・メッセージプロジェクトを通して結びついてきたさまざまな団体・個人の参加をつくりだしていく。この国際シンポジウムは、憲法九条改悪による日本のアジアへの侵略戦争の発動に反対し、アジア民衆の連帯と国際共同行動を促進していくという趣旨から、各国・地域において日米両国によるアジアでの戦争の準備に反対し、アジア・メッセージプロジェクトに賛同・協力するAWC参加団体を中心に招請する。

 

③最後に、それぞれの地域・団体・個人で、創意工夫をこらしたアジア・メッセージプロジェクトの取り組みをつくりだしていくことを要請します。アジア・メッセージプロジェクトは、アジア民衆に連帯する新しい反改憲運動のうねりをつくりだそうという運動です。そのために、それぞれの地域、団体、個人としてどのような取り組みを進めていくのか、言わばそれぞれの地域、団体、個人ごとの「私たちのアジア・メッセージプロジェクト」運動をぜひつくりだしていって欲しいと思います。アジア民衆に連帯した反改憲運動の重要性を訴える講演会・映画会や学習会、地域・職場・学園での署名運動、一人でも多くの人にアジア民衆にあてたメッセージを作成してもらう働きかけ、アジア民衆に連帯して憲法九条改悪を阻止することを訴える横幕・立看板・ポスターの作成など、これらの「私たちのアジア・メッセージプロジェクト」運動が広がっていくことによってこそ、アジア・メッセージプロジェクトはほんとうに一人ひとりが主人公となって取り組むことができる生き生きとした運動に発展していくと思います。また、そのためにアジア・メッセージプロジェクト全体に要請すること、そしてアジア・メッセージプロジェクト全体の取り組みとしていくべき提案などがあれば、ぜひ事務局に集中していってください。

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