韓(朝鮮)半島平和協定(試案) |
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(注:以下は、2008年1月17日にソウルで開かれた「駐韓米軍をたたき出す韓半島平和協定(試案)発表および討論会」で韓半島平和協定(試案)起案者および提案者が発表した文章の邦訳。)
韓(朝鮮)半島平和協定(試案)
前文 大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、米合衆国、中華人民共和国(以下、当事諸国という。)は、韓国(朝鮮)問題の平和的解決とすべての外国軍隊の撤収を規定した軍事停戦協定第4条60項の趣旨を尊重し、韓(朝鮮)半島で半世紀以上続いてきた停戦状態を終わらせ、戦争再発を防止して恒久的平和を保障するために、この平和協定を締結する。当事諸国は、外国勢力による分断によって長い間苦しんできた韓(朝鮮)民族が一つの民族として享受すべき権利を確認し、この平和協定が、南北(北南)がこれまで追求してきた平和統一を実現することに寄与することを確認する。さらに、当事諸国は、この平和協定が、北東アジアの平和と安定、そして世界平和に貢献することを望むとともに、これを遵守し、履行することを誓う。
第1章 韓(朝鮮)民族の基本権利 第1条 南北(北南)は、一つの民族として自主と主権、領土保全の権利を持ち、米合衆国と中華人民共和国はこれを尊重する。 第2条 南北(北南)が分断を克服し、統一国家を実現することは、何人も侵すことのできない民族固有の神聖な権利であり、他の当事諸国はこれを尊重する。
第2章 戦争の終了と国際連合軍司令部の解体および外国軍の撤収 第3条 当事諸国は、1950年6月25日に始まり1953年7月27日の「韓国(朝鮮)軍事停戦に関する協定」の締結により一時停戦となった韓国(朝鮮)戦争が完全に終了したことを確認する。軍事停戦協定は、この平和協定に置き換えられる。 第4条 ①米合衆国は、停戦協定により軍事境界線以南で軍事停戦任務を担ってきた国際連合軍司令部を、この平和協定の発効とともにただちに解体する。 ②当事諸国は、国際連合で国際連合安全保障理事会の1950年6月27日の決議83号(S/1511)および7月7日の決議84号(S/1588)、国連総会の1950年10月7日の決議376号(Ⅴ)および1953年8月28日の決議711号(Ⅶ)A-2項が終了したことを確認する措置をとる。 第5条 大韓民国の領域に駐屯するすべての外国軍隊は、この平和協定が発効したときから3年以内にその人員と装備を完全に撤収し、外国軍基地もすべて撤去する。大韓民国の領域内の外国軍隊の撤収と外国軍基地の撤去は、上記期限内に段階的に実行されうる。 第6条 米合衆国は、この平和協定が発効したときから、大韓民国の領域内へいかなる人員や装備も持ち込まない。ただし、駐韓米軍の撤収時まで兵力の1:1の交代を許容する。
第7条 朝鮮民主主義人民共和国の領域から中華人民共和国の人民支援軍は撤収し、朝鮮民主主義人民共和国の領域内に駐屯する外国軍隊がないことを確認する。 第8条 韓国(朝鮮)戦争の敵対する双方の当事諸国は、戦争の過程と停戦の時期に発生した人的、物的被害について、相互の和解と理解の精神に基づき、国内的、国際的に法律的政治的問題を提起しない。当事諸国は、韓国(朝鮮)戦争中または停戦期間中に発生した人道主義的問題は、解決するために持続して努力する。
第3章 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国の間の関係正常化と不可侵 第9条 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、敵対関係を清算し、国交を樹立するとともに、これに必要な相互措置をとる。朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、それぞれ相手国を敵対国と規定した国内法を改正または廃止する。 第10条 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、相手国に対してどのような場合も一切の武力を使用せず、武力で威嚇しない。 第11条 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、互いに主権を尊重し、内政に干渉しない。 第12条 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、六者会合の9.19共同声明をはじめとして韓(朝鮮)半島非核化に関する国際的合意を遵守する。 第13条 行動対行動の原則に従い、米合衆国は朝鮮民主主義人民共和国の安全を保障するために、大韓民国の領域に駐屯する米合衆国軍隊を撤収させ、朝鮮民主主義人民共和国は核武器を廃棄することにより、韓半島の非核化を遵守する。 第14条 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、平等で公正な基礎の上で対話と交渉を通して紛争を解決する。
第4章 南北(北南)不可侵と境界線 第15条 ①南北(北南)両当事国は、敵対関係を清算し、相手国の体制を認め、尊重する。南北(北南)両当事者は、相手国を破壊・征服しようとする一切の行為をしない。 ②南北(北南)両当事国は、それぞれ相手国を敵と規定した法律や規定は、改定または廃止する。 第16条 南北(北南)両当事国は、相手国に対していかなる場合も武力を使用せず、武力で威嚇しない。 第17条 ①南北(北南)の地上不可侵境界線と区域は、軍事停戦協定に規定された軍事分界線と今まで南北(北南)がそれぞれ管轄してきた区域とする。 ②南北(北南)の西海海上不可侵境界線は、小青島(ソチョンド)の西側、そして延坪島(ヨンピョンド)と牛島(ウド)の間の場合、国際連合海上法条約第15条により中間線基準を適用し、小青島と延坪島の間では北の領海基線から12海里基準を適用する。東海海上境界線は、地上境界線が終わる地点から真東の方向に引いた直線を境界線とする。海上不可侵境界線と区域の細部事項は、南北(北南)間の付属合意書による。 ③南北(北南)の空中不可侵境界線と区域は、地域および海上不可侵境界線と管轄区域の上空とする。 ④南北(北南)の地上・海上・空中境界線と区域は、統一以前までの暫定的な不可侵境界線と区域である。 第18条 南北(北南)両当事国は、意見対立と紛争を対話と交渉を通じて平和的に解決する。米合衆国と中華人民講和国は、南北(北南)間紛争の平和的解決に抵触する行為は一切しない。 第19条 当事諸国は、「南北基本合意書」の第2条「南北不可侵」と「南北不可侵の履行と遵守のための付属合意書」をはじめとする南北合意を遵守し、よりいっそう発展させることが韓(朝鮮)半島で恒久的平和を樹立する上で重要と認識する。米合衆国と中華人民共和国は、相互不可侵と平和共存に関する南北(北南)両当事国間の合意を尊重する。 第20条 南北(北南)両当事国は、それぞれ双務軍事同盟を結ばず、また多国間軍事同盟に参与しない。南北(北南)両当事国は、この平和協定の発効とともにそれぞれ既存の軍事同盟を解体し、これと関連した条約または協定を廃棄する。 第21条 韓(朝鮮)半島で外国軍隊が撤収し、外国軍基地が撤去された後、南北(北南)両当事国は、外国軍隊の駐屯や外国軍事基地の設置を許可しない。
第5章 平和地帯と軍事的信頼の構築および軍縮 第22条 大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国、米合衆国は、韓(朝鮮)半島で戦争勃発の憂慮を完全になくし、平和を強固にするために、互いに軍事的信頼構築と軍縮に関する措置をとる。 第23条 ①軍事停戦協定に従って設置された非武装地帯は平和地帯に変える。平和地帯では、兵力駐屯や軍施設設置が許容されず、軍事演習を含む一切の軍事活動が禁止され、自由な通行が保障される。 ②平和地帯は、南北(北南)両当事国が共同で管理する。 ③南北(北南)両当事国の合意によって平和地帯を拡張することができ、他の当事諸国はこれを尊重する。 第24条 南北(北南)両当事国は、西海平和水域と共同漁労区域を置く。西海平和水域と共同漁労区域は、南北両当事国が共同で管理する。西海平和水域と共同漁労区域に関する細部事項は、南北(北南)間付属合意書による。米合衆国と中華人民共和国は、10.4「南北(北南)関係の発展と平和繁栄に関する宣言」をはじめとする西海海上の平和水域と共同漁労区域に関する南北(北南)両当事国間の合意を尊重する。 第25条 韓(朝鮮)半島内で南北(北南)両当事国は、それぞれいかなる外国軍隊とも連合または共同訓練を行わない。 第26条 南北(北南)両当事国は、この平和協定が発効すれば、外国から戦車、装甲車、野砲、戦闘機、攻撃用ヘリ、艦艇(潜水艦、上陸艇を含む。)、ミサイル、電子誘導爆弾などを持ち込まず、ここには、これら各装備の性能改善のための関連技術と部品も含まれる。 第27条 南北(北南)両当事国は、相手国に対する奇襲攻撃の憂慮を払拭し、偶発的武力衝突を予防するために、大規模な部隊移動と軍事演習の通報および統制、軍事当局者間の直通電話の設置・運営、軍人事交流および情報交換などをはじめとする軍事的信頼構築を実施する。 第28条 韓(朝鮮)半島で軍備競争を防ぎ、恒久的平和を保障するために、南北(北南)両当事国は、この平和協定が発効したときから駐韓米軍撤収と連動して相互軍縮を実施する。相互軍縮の細部事項は付属合意書による。 第29条 南北(北南)両当事国は、それぞれ核兵器を製造、接収、配備せず、他国から核の傘を提供されない。米合衆国と中華人民共和国は、韓(朝鮮)半島の非核化が守られ、強固になるよう、北東アジア非核地帯化の実現のために努力する。
第6章 平和協定の履行のための共同委員会 第30条 ①この平和協定を履行するために、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国、米合衆国の代表が参加する三者共同軍事委員会を構成、運営する。 ②三者共同軍事委員会は、次の各号の履行を確認、点検する。 1. 国際連合軍司令部の解体(第4条) 2. 外国軍の撤収および外国軍基地の撤去(第5条) 3. 駐韓米軍の撤収時までの米軍兵力の交代(第6条) 4. 韓(朝鮮)半島非核化の遵守(第12条) 5. 駐韓米軍の撤収と朝鮮民主主義人民共和国の核兵器廃棄(第13条) 6. 南北(北南)両当事国のそれぞれの外国軍との連合または共同訓練の中止(第25条) 7. 南北(北南)両当事国間の軍縮の履行および合意(第28条) ③大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国、米合衆国は、三者共同軍事委員会の構成、業務手続、活動手段、経費、所在地に関してただちに合意する。三者共同軍事委員会は、米軍撤収が完了し、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器が廃棄されれば解消する。 第31条 ①この平和協定を履行するために、南北(北南)両当事国のそれぞれの代表で構成される南北(北南)共同平和管理委員会を置く。 ②南北(北南)共同平和管理委員会は、次の各号の履行を確認、点検する。 1. 非武装地帯の平和地帯転換とその管理(第23条) 2. 西海平和水域および共同漁労区域の管理(第24条) 3. 南北(北南)両当事国のそれぞれの外国軍との連合または共同訓練の中止(第25条) 4. 南北(北南)両当事国の各領域内への新たな武器搬入の禁止(第26条) 5. 南北(北南)両当事国間の軍事的信頼の構築(第27条) 6. 南北(北南)両当事国間の軍縮の履行および協議(第28条) ③南北(北南)両当事国は、南北(北南)共同平和管理委員会の構成、業務手続、活動手段、経費、所在地に関してただちに合意する。 第32条 三者共同軍事委員会と南北(北南)共同平和管理委員会は、全員合意の原則の下に活動する。異見が発生した場合は、国際平和監視団に提出する。
第7章 国際平和監視団 第33条 ①この平和協定が履行されることを監督し、履行過程で当事諸国の異見を調整するために、国際平和監視団を置く。 ②国際平和監視団は、次の各号の履行状態を監視・監督し、これを当事諸国に報告する。 1. 国際連合軍司令部の解体(第4条) 2. 外国軍の撤収および外国軍基地の撤去(第5条) 3. 米軍の撤収時までの米軍兵力の交代(第6条) 4. 韓(朝鮮)半島非核化の遵守(第12条) 5. 駐韓米軍の撤収と朝鮮民主主義人民共和国の核兵器廃棄(第13条) 6. 非武装地帯の平和地帯への転換とその管理(第23条) 7. 西海平和水域および共同漁労区域の管理(第24条) 8. 南北(北南)両当事国のそれぞれの外国軍との連合または共同訓練の中止(第25条) 9. 南北(北南)両当事国の各領域内への新たな武器搬入の禁止(第26条) 10. 南北(北南)両当事国間の軍事的信頼の構築(第27条) 11. 南北(北南)両当事国間の軍縮の履行および協議(第28条) ③国際平和監視団の主要所在地は、板門店に置く。国際平和監視団の運営経費は、この平和協定当事諸国が分担する。 第34条 国際平和監視団は、スイス、スウェーデン、インド、マレーシア、ブラジルの5カ国の代表で構成する。国際平和監視団の議長は、この監視団が定める期間を周期として代表が輪番制で担う。 第35条 国際平和監視団は、その任務を遂行するために監視班を編成する。当事諸国は、この監視班の活動に便宜を提供する。 第36条 国際平和監視団は、協議と満場一致の原則の下に運営される。国際平和監視団は、この平和協定の履行と関連した監視・監督業務が終われば終了する。
第8章 韓(朝鮮)半島の統一 第37条 韓(朝鮮)半島の統一は、7.4共同声明と南北基本合意書、6.15共同宣言、10.4「南北(北南)関係の発展と平和繁栄に関する宣言」に従い、南北(北南)両当事国が相互合意の下に、外国の干渉なしに自主的で平和的な方式で成し遂げる。 第38条 米合衆国と中華人民共和国は、韓(朝鮮)民族の自主的で平和的な統一が、韓(朝鮮)半島と北東アジアの平和と安定に緊要であることを認識し、韓(朝鮮)民族の統一の努力を尊重し、積極的に支持する。 第39条 米合衆国と中華人民共和国は、南北(北南)が国と国の関係ではない統一を志向する過程で暫定的に形成される特殊な関係であることを認め、韓(朝鮮)民族の統一問題に一切干渉しない。 第40条 南北(北南)両当事国は、それぞれの他国と結んでいる条約または協定のうち、統一問題に対する外国の干渉や武力統一を許容する条約または協定を、この平和協定が発効するとただちに廃棄する。
第9章 附則 第41条 この平和条約は、当事諸国の代表が署名し、それぞれの国内法の手続きを経て交換した日から効力を発生する。 第42条 この平和協定は、南北(北南)が統一を成し遂げるときまで有効である。 第43条 この平和協定は、当事諸国の合意により修正、補充することができる。 第44条 この平和協定は、韓国(朝鮮)語、英語、中国語で作成され、すべてが同等な効力を持つ。
2008年 月 日
大韓民国を代表し ○○○ 朝鮮民主主義人民共和国を代表し ○○○ 米合衆国を代表し ○○○ 中華人民共和国を代表し ○○○
(AWC日本連国際事務局訳)
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