声明:ジェリー・クリストバルを殺したのは誰か

       

 

 

 


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2008年3月11日
声明:ジェリー・クリストバルを殺したのは誰か
ラミロ・ティンド(ヤザキEMI労働組合委員長)

 ヤザキEMI労働組合はジェラルド・クリストバル、通称ジェリーが3月10日、カビテ州イムス、アナブ1にあるアギナルド・ハイウェイを走行中、虐殺されたことを徹底的に弾劾する。

 ジェリー・クリストバルはかつて10年間に渡ってヤザキEMIで労働組合委員長を務めた人文である。殺害される前、彼は同労組の専従活動家となり、カビテ州の他の労働者たちの組織化を助けるために活動をしていた。
 私たちはまた、適切な捜査を実施する以前にカビテ州警察のフィデル・ポサダ警察本部長およびイムス町警察署長ウリセス・クルスがフィリピン・デイリー・インクワイヤラー紙の取材に対し、ジェリーの殺害は交通トラブルをめぐる喧嘩によるものであり暗殺ではない、とでたらめな発言をしていることに強く抗議する。

 またフィリピン国家警察が、殺害の真の目的、真犯人と背後関係の解明といったことから世論の目をそらすために発表した時期尚早で無責任な二つの声明に対して強い疑念を表明するものである。

 さらにまた殺害から一時間もたたないうちにフィリピン国家警察が殺害現場を片付けてしまうという性急な対応にも強い疑念を抱かざるをえない。犯罪現場捜査班の責任者は事件後直ちに現場近くのカビテ州ダスマリニャスにあるアリンドッグ葬儀場に対して遺体を回収するように命じている。また現場付近はいつも月曜日の朝には渋滞しているが、通緑色のトヨタ・イノーバに乗った犯人たちが現場からすぐさま立ち去っていることも不可解だといわねばならない。

 私たちの仲間であり、リーダーであるジェリーの死は、労働者が団結するという正当な権利を抑圧、妨害し、恐怖と暴力をはびこらせようとする陰謀であると私たちは確信している。

 ヤザキEMI労働組合では正体不明の武装グループに射殺された組合役員はジェリーで三人目となった。だがこれらの事件について今にいたるまで警察はまともな捜査をおこなっておらず、事件は未解決のままとなっている。クリス・アバッドは現在の労働組合の前身となるヤザキEMIキリスト者労働組合の副委員長だったが、2005年1月12日に殺害された。また2006年12月11日にはヘスス・セルビダ(愛称ブッチ)が工場の正門前で凶弾に倒れた。
これらリーダーたちの殺害には共通するパターンが見られる。このリーダーたちはみな、カビテ州知事イレネオ・マリクシ、通称アヨンが指名したカビテ産業和平諮問グループ(CIPAG)のメンバーとの間で紛争を抱えていたのである。カビテ産業和平諮問グループ(CIPAG)は州知事が直接監督する機関である。ジェリーとブッチの殺害の前に、二人はそれぞれヤザキEMIでの労使問題に州知事の事務所が介入していること、またカビテ州にノー・ユニオン、ノー・ストライキ政策を実施していることを公然と批判していた。

 こうしたことから私たちは、ジェリー・クリストバルの殺害は、彼がカビテ州の多くの工場で労働者たちを組織していたことを妨害するための、政治的意図を持ったものであると確信している。また、以前ジェリーが警察官に銃撃され命を失いかけたことからも、この殺害に警察関係者が関与している可能性を否定することはできない。

 誰がジェリーを殺したのか?誰がブッチ・セルビダを殺したのか?誰かクリス・アバッドを殺したのか?これらの犯罪事件を解決する力を私たちは持っていない。故に私たちはこの問いをマリクシ知事そしてカビテ州のフィリピン国家警察にこそ問いたいのだ。

 

 

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