ミグランテ・ジャパンの声明「レイプ被害にあったフィリピン女性が正義を要求・アロヨ政権は何をしているのか」

       

 

 

 

 

ミグランテ・ジャパンの声明(5・28)

「レイプ被害にあったフィリピン女性が正義を要求・アロヨ政権は何をしているのか」

 

ミグランテ・ジャパンは、2008年2月18日に沖縄でレイプの被害にあったフィリピン海外移住労働者「ハゼル」の苦境にたいして犯罪的な怠慢をきめこむアロヨ政権をきびしく弾劾する。彼女は契約労働者として働くために日本に到着してわずか2日後にこの被害にあった。

彼女を襲ったのは沖縄駐留米軍パトリオット・ミサイル部隊の氏名不詳の兵士である。しかし、日本の那覇地方検察局は「証拠不十分」という口実で不起訴処分を下し、犯人の米軍兵士は起訴を免れてしまった。

ミグランテ・ジャパンはこのレイプ事件の軽率拙速な処分決定を非難する。それは被害者の願望を裏切るものである。明らかに日本の検察は「ハゼル」がすでに声明していることを無視し、那覇警察がすでに最初の捜査で確認しているところの彼女の負った大きな怪我を無視しているのである。

しかし、それ以上に許せないのはアロヨ政権が「ハゼル」の状況にたいして何も援助をしていないことである。言うも恥ずかしいことであるが、他国の政府は自国民が彼女と同様の苦境にあるときには少なくともあれこれと援助しようと動くものだが、アロヨ政権はこの事件について一貫して沈黙を続けるどころか、時として、被害者女性の情報や状態を隠蔽しようとさえしているのである。

「ハゼル」のおかれている状況は滞日フィリピン人の多くのものにとっては初めてのことではない。フィリピンでは50年にわたって二大米軍基地(クラーク空軍基地とスービック海軍基地)が存在したなかで、米軍兵士による多くのレイプ事件があった。しかし、これらの事件は一つとして裁判で勝利することはなく、裁判にかけられることすらなかった。この結果について非難さるべきは、被害者を助けるよりも「悪い兵士」を助けてきたフィリピン政府をおいてない。「ニコール事件」という重要な一つの事件がある。2005年11月、当時22歳であったニコールは4人の米海兵隊員にレイプされた。裁判は一年間続き、圧倒的な証拠もあるのに4人のうち一人の兵士しか有罪判決を受けなかった。また悲しむべきことにアロヨ政権は米国の圧力に屈服してその有罪兵士に援助を与え、こうしてレイプ犯人ダニエル・スミス大尉は、自由の身となりこの2年間マニラの米国大使館で保護拘束されている。他方、被害者ニコールはずっと正義の判決をもとめて叫び続けている。

われわれミグランテ・ジャパンは問いかける。自国民の被害者を助けるよりも犯人をかくまうことに熱心な政府とはいったい何者なのか、と。

われわれは、米兵にたいする不起訴処分は、日本に駐留する米軍の存在にたいして高まりつつある人々の抗議を押さえ込むために事件をもみ消そうとするものであると考える。ここ数ヶ月のうちにあきらかになった米兵による一連のレイプ、性暴力によって人々の抗議は激しくなっている。不起訴は外交的考慮にもとづくものでありアロヨ政権も意図的にこの外交ゲームに関わっているのである。

アロヨ政権の助けがないなかで被害者女性はみずからの身をさらして自分の事件を公然化し争わねばならなかった。滞日フィリピン人社会の支援によって、被害女性は大衆にたいして自分のレイプ事件の「真実と事実を知ってほしい」と訴え、マスコミで流布されているような彼女をひどくおとしめている噂を払拭するように要請した。われわれは、彼女が公然と発言を始めたなかで、ますますこれに対抗して事実に反するつくり話も流布されていくだろうと予測している。しかし、真実は勝利するのであり、最後は人びとが誰を支持するか、で決まるものである。

したがって、ミグランテ・ジャパンは日本の人民が「ハゼル」を支持することを訴え、自分たちの日本政府が沖縄やその他の地域において米軍兵士の悪行に反対する人民の立場にたつように政府に圧力をかけることを訴える。また、沖縄の米軍司令部は犯人をかくまうのではなく、正義が支配するために真実を尊重するよう要求する。

われわれは繰り返しアロヨ政権の、事件に何も対応しない犯罪性と怠慢を非難し、被害女性とそのフィリピンの家族に支援を表明する。われわれは滞日フィリピン人社会の力を結集し被害女性をこれ以上の危害と侮辱から守り、彼女が当然うけるべき正当な判決と正義の実現をかちとる日までともに歩んでゆく。

「ハゼル」に正義を!米兵のレイプによるすべての被害者に正義を!

事件のもみ消しを許さない!真実のみを語れ!

アロヨ大統領は犠牲者を援助せよ!事件もみ消しの手先になるな!

日本・アジアのどこであれ米軍基地反対!

   

 

 

 

 

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