北海道G8サミットに関するILPSの声明

       

 

 

 

 

北海道G8サミットに関するILPSの声明

ホセ・マリア・シソン教授 国際人民闘争同盟(ILPS)国際調整委員会・委員長

2008年7月1日

 2008年7月7日から9日にかけて北海道・洞爺湖で開かれる第34回のサミットでは、世界経済、環境・気候変動、開発とアフリカ、そして政治的諸問題を主テーマとし、これらの諸問題に対する総意にもとづいて、討議と合意がなされることになっている。G8諸国の帝国主義的な性格からすれば当然のことではあるが、米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、そしてロシアは、全世界のプロレタリアート人民を、さらに搾取し抑圧する政策で合意しようとしている。

 「自由市場」グローバリゼーションの政策は、独占資本主義の基本的欠陥を克服することはできず、大恐慌以来最悪となる世界資本主義システムの経済・金融危機を引き起こしてきた。そうした差し迫った事態のなかでサミット参加国は事前に、動揺する金融市場を安定化させる必要性を強調してきた。しかしながら、米国に金融危機の主要な責任があるとは報告されていない。

 住宅ローンの焦げ付きや、貧困者・貧困国への貸し渋りの問題について、少しは言及されるかも知れない。しかし、確実なことは、新自由主義の神話のもとでグローバル資本主義の危機が激化していることへの、また反テロリズムの口実をもって行なわれている侵略戦争の膨大な戦費について、深刻な懸念は何ひとつ表明されないだろうということである。たんなる宣伝として、サミット参加国は燃料・食料価格の高騰をとりあげ、働く人々や低開発諸国の苦境に関心を抱いているかのように装うだろう。しかし、かれらは石油や食料カルテル(企業連合)の責任を問うことはないだろう。

 実際には、G8は、長期にわたって搾取されつづけてきた世界の人民に、危機が生み出す矛盾をいっそう強力に押し付けようとしているのだ。G8は、独占企業の利益のために貿易と投資のさらなる自由化を追い求め、自分たちの利益のためにより多くの貸付をおこなうことで企業の成長を確保し、情報技術や他の分野での知的財産権を自己の管轄下に置き、世界のエネルギー・天然資源に対する支配を確実なものにしようとしている。

 G8諸国の独占資本の利害関係者には、超過利潤を追求するたえまない企業活動によって環境破壊や気候変動を引き起こしてきたもっとも大きな責任がある。だがかれらは責任を回避し、その所在をあいまいにしつづけている。かれらは、無視やごまかしが容易にできる京都議定書をつくりあげてきたが、いま、京都議定書後の計画をもてあそびながら、ふたたび同じことを行なっている。

 かれらはあくまでも、地球温暖化を引き起こした過去と現在の長期の責任をおおい隠し、いわゆる排出緩和や炭素取引などの詐欺を行ない、また発展途上国、とくに多国籍企業の奴隷工場を誘致している中国やインドのような国々の炭素排出量を誇張し、あるいは工業化や国の発展を強く望む低開発諸国を非難する。

 経済発展の問題においては、G8にとってアフリカは、かれらの空涙の格好の対象でありつづけている。たしかにアフリカ大陸には最も貧しい国々が存在しているからだ。しかしサミット参加国は、かれらのありもしない慈悲深さを見せつけるために、また帝国主義がつくりだしたアジア、アフリカ、ラテン・アメリカの低開発性から関心をそらすためにアフリカを利用することを常としている。かれらは現在、2015年の最終年度の中間にある「ミレニアム開発目標」における嘘・いつわりの約束について、どのような誠実な調査もおこなおうとしていない。かれらはアフリカの債務を減らしてこなかったばかりか、増やしさえしてきたという事実に真剣に向き合おうともしない。

 衛生、水、教育といったアフリカに具体的が必要としている問題に焦点があてられつつある。エイズ・HIV問題はもっとも深刻な問題だ。しかし、G8の最大の関心事は、実際のところ、食料や他の基本的必需品の必要を操作することで、アフリカの石油や天然資源をさらに収奪することにある。地球的規模で見れば不足などない。特定の商品の生産過剰におちいっている少数の国々と、またもし「自由市場」グローバリゼーションによる強制などなければ生産できるような商品(食料など)が極度に不足している他の国々とのあいだのバランスの取れない現実を利用しながら、石油や食糧カルテルによって欠乏は意図的につくり出されてきたのだ。

 戦争犯罪人であり世界一のテロリストであるブッシュ・ジュニアは、退任演説を行なおうとしている。彼は、対テロ世界戦争での新たな成果を誇示するだろう。彼は、アメとムチの戦術が北朝鮮に核兵器開発計画を放棄させるという成功をおさめたと主張することで、自分を実際以上に大きく見せようとするだろう。彼は北朝鮮にさらなる要求をつきつけるだろう。彼はまた核兵器拡散を防止するという口実で、イランへの脅迫を強めるだろう。しかし、本当の特別の目的は、米国とイラク傀儡政権が結んだ安全保障協定をイランが7月末までに同意するよう圧力をかけることにある。

 ブッシュは、シオニストによるパレスチナ占領の継続、米国のイラク占領、米―NATO軍によるアフガニスタン占領、そして中東、中央アジア、南アジア、東アジア、アフリカ、ラテン・アメリカでの米国によるあらゆる侵略的・干渉主義的な行為を、平和構築活動としていつわるだろう。他のサミット参加国のうちのどの国も、公然と世界資本主義システムの経済・金融危機を悪化させ、また対テロ世界戦争政策のもとでグローバル侵略戦争と国家テロリズムを全面化させた米国の責任を追及することはないだろう。

 G8を構成する国々は、世界のプロレタリア人民を犠牲にして、世界資本主義システムを防衛し、またそこから利益を得ていくという共同の決定によっていまだ強く結びついている。だが、このシステムの危機は、それらの国々のあいだの矛盾がはっきり分かるようなところにまで達している。それらは経済的・金融的・社会的・政治的、安全保障上の問題、また環境問題に影響を及ぼしている。それらは、人民の抵抗闘争、一定の国々による民族独立の主張の高まりや、G8諸国のあいだの矛盾の増大のなかで表面化してきている。

 危機は、世界の再分割を求める帝国主義列強間の争闘を生み出している。政治的な面ではこれは、主人として指図できる政府が存在する半植民地・従属国の支配をめぐる闘争である。経済的な面では市場、低賃金労働力、希少金属、そして投資先をめぐる闘争である。帝国主義内の矛盾がどれだけ激化していくのか、あるいは、どれほどの国々が、当面、沈黙を守るのかを見守ることは興味深いものとなるだろう。

 われわれ国際人民闘争同盟は、今回のG8サミットに対する抵抗を果敢に準備しているアジア共同行動(AWC)日本連と日本の民衆団体にわれわれの賞賛を届けたい。われわれは日本の諸団体が闘いのイニシアチブをとり、G8サミットに反対して立ち上がり、世界の民衆を鼓舞していることに感謝したい。われわれは日本の独占資本とその軍事的な手先たちが抑圧的な手段を使って民衆とその基本的・民主的な権利を弾圧していることを弾劾する。

 われわれは日本・G8諸国・全世界のILPS加盟団体およびその他の民衆団体に対して、2008年G8サミットに反対し、宣伝活動や反対運動を組織することを訴える。われわれの闘いは、帝国主義と修正主義に対して毅然としており戦闘的である点で、また全世界の人民の民族的・社会的解放を求める点において、はっきりした立場をとるものでなければならない。##

 

 

   

 

 

 

 

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